11月14日に放映されたNHK『ブラタモリ』は飛騨高山が舞台だった。
平安時代の延喜式に「飛騨下」つまり下下の国とされた当地が、なぜ今日のように栄えた山岳都市になったかがテーマで、実は古代の地層と深く繋がっていたという。
昔から、高山には金山伝説のようなものがあり、確か昭和の終わり頃までは、その手の金山探しに熱中しすぎて、人生をなかば棒に振ってしまった古老達も結構いたようだ。
それと「高山は飛騨片麻岩という硬い岩盤の上に築かれているから、大地震なんかへっちゃらさ」という奇妙な都市伝説もよく聞かさせたものだ。
番組後半、この二つの謎が初めて繋がり、長年の胸のつかえが取れて溜飲が下がった。飛騨北部の神岡町の河原にタモリが降りたち、そこで初めて飛騨片麻岩というものに対面。
何億年も前に地球の大陸同士が接近しあうパンゲリアの頃、飛騨のあたりは岩盤が熱と圧力で変成した結果、コンクリートの5倍も硬い飛騨片麻岩に生まれかわる。
また多くの鉱物資源がそこに含まれており、果たして白川村や神岡町などでは掘った石に金銀、砂金、鉄鉱石、亜鉛などが含まれていた。
やがて手掘りで掘られた小さな鉱山の産物が高山を治めた金森長親の懐を肥やしたというストーリーである。大昔とちがい、いまの鉱物探索技術はすこぶる高い。
なるほど、密かに金鉱掘り当てを夢見る平成の若者がいても少しも不思議ではない。そんなわけで、地震にも強くて町を反映させた「飛騨片麻岩」の名前をみなさんどうぞお忘れなく!
瀬戸山玄